本の紹介 すべては救済のために デニ・ムクウェゲ自伝
【本の紹介】
すべては救済のために デニ・ムクウェゲ自伝
昨日、一昨日と紹介したドキュメンタリー映画のコンゴ民主共和国のデニ・ムクウェゲ医師の自伝です。
距離や様々な事情で映画を見に行けない人は本を読むという手もあります。
2021年に読んで書いた感想文です。
ムクウェゲ氏は2018年ノーベル平和賞を受賞したコンゴ民主共和国のお医者さんである。
コンゴ民主共和国の東部、ルワンダやブルンジと国境を接する地域では国際的な問題と取り上げられた住民を服従させる手段としての女性への過剰なまでのレイプが横行する。
ムクウェゲ医師の病院には毎日平均7人の女性が病院に訪れる。
乳児からお年寄りまで、中にはレイプ被害に加えて家族も共同体も失ってしまう人たちがいる。
コンゴ東部では「伝統的に」レイプが行われていると思われがちだが、ムクウェゲ氏の所感だと21世紀前後からなのだそうだ。
「伝統的に」と評されるあたり、国際社会がこの問題に「関わり合いたくない」と思っているんだろうと言うことが浮き彫りになる。
「伝統的に」であれば、「そちらの国の問題ですよね(内政干渉だから何もしないよ)」と言えてしまうのだ。
ところがムクウェゲ医師の所管に当たるその時期というのが、1994年ルワンダ虐殺、1996-1997年第一次コンゴ紛争、1998-2003年第二次コンゴ紛争という時期に重なるという。
さらに現場が多くの鉱物資源を抱えているということです、国際社会が知らんぷりはできないと思う。
本書が書かれた2016年には被害者数も極端に残虐なケースも少なくなっているというが、あまりの凄惨さに言葉もない。
ムクウェゲ氏は何度となく命を狙われても奇跡的に命を落とさずに済んでいるし、安全を考えれば他の国に行くことだってできるにも関わらず、国際社会にコンゴ東部の実態を知らしめたことも、性暴力を受ける女性がいる限り怒りの声を上げ続けることも天から授けられた使命のようにも感じる。
「すべては救済のために」だ
日本から遠く離れたこう言った問題も
あの時は仕方なかったよね
で済むような問題ではないと思う。
のちに正当化されたり、忘れ去られないためにはやはり「知っている」人たちを増やすのがまずは第一歩なのだろうと思うのです。
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