本の紹介 西遊記
児童文学として馴染みの深い、三蔵法師が猿と豚と河童の妖怪を供にありがたいお経をもらいに天竺に旅をするお話の西遊記。
日本では旅をする方が有名だが、西遊記の生まれた中国では孫悟空が天界で大暴れする第一部の方がメインらしい。
KADOKAWAのビギナーズクラシックは要点をまとめて解説付きなので、大長編もあらすじを知れるのがいいのだが、正直なところ、
本当の西遊記って面白いか?
と言う印象。
なぜなら、子どもの頃のイメージとは違い、
正義の味方が悪い妖怪を倒しながら旅をする物語ではない
からだ。
だから、ワクワクしない。
仏教に帰依してるはずの三蔵法師も孫悟空も猪八戒も沙悟浄も決して、聖人ではないし、徳の高い僧やその一行ではない。
妖怪なんかは醜悪で読んでいてイライラするくらい、その考えもあり方も醜い。
ここでふと考えた。
西遊記というのは
とてつもない社会風刺小説なのでは?
と。
そう考えるとまあまあ納得できる。
人民は欲の塊で頭が悪いが、坊主も徳が高いわけではない、と。
天界で大暴れする孫悟空も結局は天帝にとって反逆的で目障りな存在だったと言えなくもない。
ここまで盛大に社会風刺をしているにも関わらず、中国を代表する古典であり続ける西遊記。
原作は日本人好みの勧善懲悪な物語でないけど、日本人向けのアレンジ版には子どもの頃のワクワクは変わらないのだろうな、きっと。



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