本の紹介 信仰

信仰 村田沙耶香
8つの短編からなり、信仰はそのうちの一編。
村田沙耶香さんの話に共通するのは、普通の人が誰にも言えないような仄暗さを抱えていること。
ただ、村田さんの書く人たちはその仄暗さを人に見せてしまうから、なんだか異質な感じがしてしまう。
とは言え、仄暗さがあると知り、うまく折り合いをつけようとする人たちにとって、仄暗さがないかのように社会という舞台の一役者、いや背景に甘んじる人たちの方が異質で異常に見えてしまう。
仄暗さと共存しようとするちょっと変わった人たちと仄暗さを見ようともしない普通の人たちは、どちらも狂気に飲まれているのではないかと思う。
その狂気が両者を繋いでいて、その狂気が友情であり、愛情であるのではないだろうか。
信仰のカルトを作るのもそうだが、「推し活」も同様の怖さを感じるよ、私は。
個人的には「生存」の話がいい。
近未来、身分差ではなく生存率差の結ばれない恋愛もあるだろう。
人間社会は強くなくても生きられるが、いつの時代も社会の一員として生きるのが苦しい人たちも多いのだ。
近未来の話がいくつかあるが、もう少し社会の進化にも目を向けてほしいところだ。
自分のクローンをお掃除ロボットと言えちゃうあたりの何気なさにはビックリするが。
それでも自分のクローンはいらないよ、と思う。
村田沙耶香さんの小説は「常識って本当に常識?」「あなたは正しい人間なの?」と問いかけられて、体の奥底の本能が叫びだす感覚に襲われる…





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