本の紹介 百人一首
学生時代に覚えて、今でもいくつかのフレーズが思い出せる百人一首。
百人一首の紹介と現代語訳、解説と背景などを説明する本書。
さらっと読むのにちょうどいい。
初めから読んでもいいし、「あの歌ってなんだっけ?」で探してもいい。
一首目は天智天皇、二首目は持統天皇と飛鳥時代の天皇の歌からはじまるが、驚いたことに、九十九首目は後鳥羽院、百首目は順徳院という鎌倉時代の天皇の歌で終わる。
実に600年ほどが百首を読み終わる間に流れていく。
最初の方の和歌は、素朴なものが多い、奈良時代以降の歌は華やかに、平安時代の歌は恋愛を歌ったものが多い。
平安時代も後期から鎌倉時代に入ると武士の時代を表すように質実剛健の歌が多くなる。
歌人たちの中には有名ではない人もいれば、掲載された歌が代表歌でないものも多いそうだ。
なぜこの人たちが、この歌が選ばれたのか、なぜ百首なのか、それは誰もわからない。
選者は藤原定家と言われている。
百首を読む間流れる時間は人の一生のようだと感じる。
恋愛首が約半分を占め、決して喜びだけでなく苦しさも悲しさも不実をなじるのも恋愛にはありがちだ。
季節を愛で、日常のちょっとしたことに目を向け、生きる喜び、悲しさ苦しさ、愛も恋も恨めしさも、そして、昔を懐かしく思うのも人の生きる様と重なってくる。
かるたとして取り札を競うのも、歌を覚えるのもいいが、今の自分と気持ちがぴたりと合うそんな一首を探す楽しみもあるかもしれない…


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