本の紹介 チーズと塩と豆と

チーズと塩と豆と
4人の直木賞作家が描く南欧を舞台にしたアンソロジー。
それぞれの話がどれかの話に関わるわけではないのだが、全ての話が同じ時間に発生しているようにも読めるし、全く関係ない話とも読める。
食事に重なってくる思いは、父を思い、恋人を思い、夫を思い、母を思い、旅先で出会った人を思う。
豪華な食事でなくても、スープの塩気とその場に刺す太陽の光のおかげで、その一瞬一瞬が大切なものに見えてくる。
食事は誰かとの幸せなひと時を彩るもので、その人を失ってしまっても、その味も色も蘇ってくる。
そして愛しいという気持ちを呼び起こす。
角田光代さんの作品を読んだのは初めてだと思うけど、国際支援の場で食事を作るだけでなく、幸せな食事の記憶を作っているのだけれど、すれ違った恋人とはその幸せな思い出を作れないのに胸を締め付けられる。
南欧でそれぞれの事情と共に生きている人々とテーブルを囲んで一緒に食事をするような気分にしてくれる短編集だ。
ワインを片手にチーズとミネストローネ、話題は恋の話がいいかもしれない。




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