本の紹介 消滅遺産ーもう見られない世界の偉大な建造物
消滅遺産ーもう見られない世界の偉大な建造物
バーミヤン渓谷の大仏しかり、世界には惜しくも消滅してしまった偉大な建造物が存在する。
消滅の理由は様々だ。
解体、戦争、火災、自然災害、ダム建設、人間のその他の活動…
存在したことだけが記録や写真に残されて、徐々に人の記憶からは消えて行ってしまうだろう。
実際消滅してしまったもの、消滅の危機にあるもの、そして、消滅後に復元されたもの。
消滅後、新たな建造物が建てられて、緩やかに人の記憶から消えるもの。
とはいえ、人類の数千年わたる栄華の中で、どれだけの文明や文化が栄え、そのわずかな痕跡すらも残さず消えてしまったのかを現代の人が知ることはできない。
今、徐々に消えつつある建造物にお金をかけて無理やりに将来に残すことは正しいことなのだろうか?
今あるものの記録を取るだけにして、将来に復元を任せるべきだろうか。
何が正しいかはわからない。
だが、人の手による消滅や消滅の危機に瀕することだけは愚かだと感じてしまう。
貧困や圧政にあえぐ人たちがどんなに喘いで訴えても世界は見向きもしなかったが、文化財が一つ消えれば世界中が注目し、大騒ぎをする。
そこには大きな歪みと矛盾が見える。
現代で消えてしまった遺産の前には、知られずに無くなった遺産が沢山あるのだろうと考えれば、失われたものの大きさは人の手にはあまるものだ。
写真集としても美しい、歴史の深さを感じる一冊。
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