映画の紹介 金の糸 (ジョージア映画)
映画 金の糸
ジョージア(旧称グルジア)
聖ゲオルギウス十字の四隅にエルサレム十字を配した旗であり、ファイブ・クロス・フラッグ(Five Cross Flag)として知られているそう
ジョージアの古き良きトビリシの19世紀に建てられた家で生まれた小説家エレネは娘夫婦とひ孫と暮らす。足が悪いため家からは出られない。
エレネはきっとこの生まれた家で最期を迎えるのだろう。
エレネの孫娘はアメリカの大学にいて、ひ孫はジョージアで学校は西側の教育体制を受け入れている。
孫娘は帰って来ないで、ひ孫を連れてアメリカに住むんじゃないかな…
そんなゆっくりと西側に馴染む家に娘の姑で旧ソ連の高官だったミランダがアルツハイマーの疑いで同居することになる。
嵐の予感…
実際同居はあまりうまくいっているように見えない。
エレネは小説家だが、その作品が旧体制に批判的だったという理由でその後20年も一行も発表できなかったという過去があるし、母親は流刑にされている。
一方でミランダは旧ソ連の体制とイデオロギー、ある種洗脳による熱狂の中を生きてきていて今もまだそれが忘れられない。
↑↑熱に浮かされて正しい判断ができないのならそれは怖い
新しいものが良きものであっても受け入れられないのだ。
過去に関係するものにアルツハイマーを患っても報いようとするのはミランダにとって過去が素晴らしいものだからだろう。
そして衝撃的な事実がミランダの口からエレネに伝えられ、ミランダは過去の熱狂を見ながら姿を消す…
過去の様々な痛みを乗り越える象徴として日本の金継ぎが登場する。
↑↑ 金継ぎ、金繕いとも言うそう
エレネの79才という年齢を考えても、長い年月を経てようやく
過去を財産として受け入れる
ことができたというのだろうか。
過去がどんなに素晴らしくてもしがみついてはいられない。人が老いる一方で
時代は常に新しく変化を続ける
からだ。
常に今の時代を生きるには過去を繕ってからなのだろう。
今回のロシアのウクライナへの所業は、旧ソ連に属していた国々にとったら、過去の亡霊が蘇って襲ってきたようなものなのだろう。
金繕い出来ず、墓標も建てられなかった過去は新しい時代の息吹に染まず、沈ませるほどに重い。



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