国際結婚はキラキラだけじゃない!山あり!谷あり!闇もある!?

ガーナ人イスラム教徒と国際結婚して日本で、多様性と異文化、多様な価値観に揉まれながら生きる非イスラム教徒の日本人妻のブログ

本の紹介 革命前夜


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バッハの音楽に魅入られた日本人留学生が冷戦下の東ドイツに留学し、東側体制の留学生や東独の学生達の才能の打ちのめされ、復活し、かつ監視されながらも自分の音楽を探し、さらには国の暗闇と歴史の1ページを目の当たりにする。



本書に出てくるクラシックの数々、これらを読みながら再生できれば、せめてその音楽の背景を知ってさえいれば、この本の魅力は跳ね上がる。


音楽家達が奏でる音の表現がぴたりとハマる。


ベトナム人留学生の慈雨のような音、
主人公の日本人ピアニストの音は水のよう、
ユダヤ系ハンガリー人バイオリニストの音は砂と風、


それぞれのルーツが見えてくるようだ。


西側への移住申請を出したことで職も家族も無くしたオルガニストがハンガリーの破れた鉄のカーテンを越えていく姿、天使のような笑顔で運動家も主人公さえも監視をしていた技巧のバイオリニスト、国家の威信をかけ音楽家として大成するしかない東側の留学生、手を傷つけられて未来を絶たれても内に溢れる音楽を表現するために指揮者に転向する元バイオリニスト、全てが音楽で繋げられ、鉄のカーテンは破られ壁は崩れ落ち、若い音楽家を祝福するように新しい時代が幕を開ける。
 もはや歴史の1ページとなってしまったベルリンの壁の崩壊前の東ドイツはこんな社会だったのか、というのを今の同僚の姿を通して見ると身近に感じ恐ろしいものがあるが、鉄のカーテンも壁もあの当時は限界が来ていたのだろう。


戦後40年ほど、若い世代には「戦争を引きずったジジババのエゴ」に映ったのかもしれない。


 一方、西側からの留学生の主人公は東側の社会の闇など知るはずもなく、ただバッハへの憧れを持っているだけだ。東独の人や東側の国の威信えお背負った留学生からは目障りで鼻につく存在なんだろう。


西側も決して楽園ではない。
東でも西でも音楽は溢れ、人とともにある。
それでも人は新しい時代を選び取ったのは必然ではあるのだろう。